旅行や留学でフィリピンに行くことが決まると、多くの人が真っ先に気になるのが「現地の食事ってどんな味なんだろう?」ということです。
タイやベトナム、インドネシア料理などは日本でもレストランやスーパーで見かける機会が増えましたが、フィリピン料理はまだ知名度が低く、「名前すら聞いたことがない」という人も少なくありません。
実はフィリピン料理は、スペイン、中国、アメリカ、マレーなど複数の文化が融合した独特の食文化を持っています。
約300年間に及ぶスペイン植民地時代の影響で、煮込み料理やスープ料理が豊富になり、アメリカ統治時代にはファストフード文化やスイーツ文化が根付きました。さらに中国から伝わった麺料理や点心、マレー由来の香辛料やココナッツを使った料理なども、今ではフィリピンの食卓に欠かせない存在です。
味の特徴は、酸味(ビネガーやカラマンシー)、甘味(砂糖やココナッツミルク)、塩味(醤油や魚醤)を絶妙に組み合わせたもの。このバランスが、日本人にも馴染みやすく、意外にも「食べやすい!」と感じる人が多い理由です。
また、米を主食とする点も日本人にとって大きな安心材料。朝昼晩どの食事にもご飯が登場し、ガーリックライスやチャーハンなどアレンジも豊富です。
フィリピンでは食事が家族や友人との大切な交流の場とされ、誕生日やお祭り(フィエスタ)では豪華な料理がずらりと並びます。一方で、屋台や市場では気軽に食べられるローカルフードも豊富で、観光や留学中はその両方を楽しむことができます。
この記事では、初めてフィリピン料理を体験する方のために、絶対に食べてほしい名物料理15選を、定番メニュー・ローカル感あふれる料理・甘党必見のスイーツに分けて詳しく紹介します。さらに、現地で安全に美味しく楽しむための食べ方のコツや文化的ポイントも解説。
これを読めば、現地での食事選びに迷うことなく、フィリピン滞在中の食体験を最大限楽しめるはずです。
フィリピン料理は、7,000以上の島々から成る国土と、多民族・多文化が織りなす歴史的背景から誕生しました。約300年続いたスペイン植民地時代、アメリカ統治、中国やマレーからの移民など、さまざまな国や地域の文化的影響を受けており、**「アジアで最も多国籍色の強い料理」**とも言われます。
フィリピン料理の味のベースは、酸味・甘味・塩味のバランスです。
酸味:サトウキビ酢(Suka)、ココナッツ酢、柑橘類のカラマンシーなどを使用。酸味を活かした料理は暑い気候でも食欲を引き出します。
甘味:サトウキビ由来の砂糖、ココナッツミルク、甘いバナナケチャップが代表的。おかずにも甘さを加える文化があります。
塩味:醤油(トヨ)、魚醤(パティス)、塩漬けエビ(バゴーン)など、海産物を利用した旨味の強い調味料が多いです。
この三味の組み合わせにより、同じ煮込み料理でも家庭ごとに味の個性が出るのも魅力です。
フィリピン人の食事の中心は米で、朝昼晩すべての食事にご飯が登場します。
白ごはん(Steamed Rice):どの料理にも添えられる基本形
ガーリックライス(Sinangag):にんにくを炒めた香ばしいライス。朝食に人気
チャーハン(Fried Rice):余ったおかずや野菜を混ぜて作る家庭的な一品
この米文化は、日本人にとっても食べやすさにつながります。
家庭料理中心:家族全員でテーブルを囲み、複数のおかずをシェアして食べる「おかず+ご飯」スタイルが基本。
フィエスタ文化:誕生日や町のお祭りでは、大鍋料理や豪華な丸焼き豚(レチョン)を振る舞う習慣があります。
ストリートフード文化:屋台や市場では串焼き、揚げ物、軽食スナックが並び、100ペソ(約270円)以内でお腹いっぱいになることも。
都市部ではショッピングモール内に多国籍レストランやファストフードチェーンが多数進出しています。一方、地元民が通う「カレンデリア(食堂)」では、煮込み・揚げ物・スープなど数十種類のおかずが並び、**1食100〜150ペソ(約300円前後)**で食べられます。ここでの食事は、観光客がフィリピンのリアルな味に出会える場所でもあります。
フィリピンを訪れるなら、まずは現地の人々に愛される定番料理から試してみましょう。これらは観光地やローカル食堂、ショッピングモールのフードコートでも見つけやすく、日本人の口にも合いやすいメニューばかりです。
フィリピンの国民食とも言われる煮込み料理で、鶏肉や豚肉を酢・醤油・にんにく・胡椒・ローリエでじっくり煮込みます。酸味と塩味が絶妙に絡み合い、ご飯との相性は抜群。地域や家庭によってレシピが異なり、甘めに仕上げる場合もあれば、スパイスを効かせる場合もあります。
タマリンドやカラマンシーなどで酸味を加えたスープ料理。具材は豚肉、エビ、魚、野菜など多彩で、暑い気候でもさっぱり食べられるのが魅力です。酸味の効いたスープが、食欲を刺激します。
牛すじやテール肉、野菜をピーナッツソースで煮込んだ濃厚な料理。ピーナッツの甘みとコクが特徴で、別添えのバゴーン(発酵エビペースト)を混ぜると旨味がさらに広がります。
お祝いの席やフィエスタには欠かせない、丸焼き豚のロースト。外はパリパリ、中はジューシーで、特製ソースと一緒にいただきます。特にセブ島はレチョンの本場として有名で、専門店も多数あります。
中国の影響を受けた麺料理。パンシット・カントン(中華麺風)やパンシット・ビホン(ビーフン)があり、野菜・肉・エビなどの具材を炒めたシンプルな一皿。誕生日に食べると長寿を願う意味があると言われます。
フィリピン風ソーセージで、地域によって甘いタイプとガーリックが効いたタイプがあります。ガーリックライスと目玉焼きとセットで食べる「ロンガニーサ・シログ」が朝食の定番です。
西ビサヤ地方発祥の炭火焼きチキン。酢やカラマンシー、にんにく、アナトー油でマリネし、香ばしく焼き上げます。ジューシーな肉と香りが食欲をそそります。
フィリピンの魅力は、定番料理だけでは語り尽くせません。地元の人々が日常的に食べているユニークなローカルフードは、旅行や留学中に「話のネタになる」体験ができるものばかりです。少し勇気がいるメニューもありますが、思い切って挑戦してみると、新しい味の発見があります。
孵化直前のアヒルの卵を茹でた珍味で、中には羽や骨が形成されかけたヒナが入っています。塩や酢をかけて食べるのが一般的で、栄養価が非常に高いスタミナ食として親しまれています。夜市や路上で売られており、ローカルの人と一緒に食べれば盛り上がること間違いなし。
豚の血をベースにした黒いシチュー。酢やスパイスで煮込むことで独特のコクと酸味が生まれます。見た目はインパクト大ですが、意外とまろやかでご飯との相性も良いです。
新鮮な魚介を酢やカラマンシー、玉ねぎ、唐辛子でマリネしたフィリピン版セビーチェ。生魚好きの日本人にとっては馴染みやすい一品で、暑い日にさっぱり食べられます。
春巻きの皮でサババナナとジャックフルーツを包み、揚げて砂糖をまぶしたスイーツ。外はカリカリ、中は甘く柔らかく、屋台で手軽に買える人気のおやつです。
フィリピンはスイーツ大国と言っても過言ではありません。暑い気候にぴったりのかき氷系デザートから、ココナッツや米粉を使った素朴なお菓子まで、甘党を唸らせるスイーツが勢ぞろいしています。ここでは、現地でぜひ味わってほしい代表的なフィリピンスイーツを紹介します。
フィリピンの国民的デザートで、名前はタガログ語で「混ぜる」という意味。
かき氷の上にカラフルなゼリー、甘く煮た豆、フルーツ、タピオカ、ココナッツ、そしてウベ(紫芋)アイスをたっぷりトッピングします。ミルクをかけて全体を混ぜて食べると、冷たさと甘さ、食感の違いが口いっぱいに広がります。見た目も華やかで、SNS映えも抜群です。
スペイン由来の濃厚カスタードプリン。卵黄とコンデンスミルクをたっぷり使っているため、普通のプリンよりもずっしりとした食感と強い甘さがあります。ケーキのトッピングやハロハロの具材としても人気です。
「ブコ」とはヤシの実のこと。ココナッツの柔らかい果肉と甘いミルクを詰めたパイで、ラグナ州の名産品として有名です。甘さは控えめで、コーヒーや紅茶との相性が抜群。お土産にも喜ばれるスイーツです。
米粉とココナッツミルクを使った蒸し焼きケーキで、バナナの葉に包んで焼くことで独特の香ばしさが生まれます。クリスマスシーズンに教会周辺の屋台でよく売られ、チーズや塩漬け卵をトッピングすることもあります。
せっかくフィリピンに行くなら、料理を美味しく、安全に、そして文化的背景も含めて堪能したいものです。ここでは、旅行者や留学生が現地での食体験をより充実させるためのポイントをまとめます。
フィリピンの屋台や市場グルメは安くて美味しい一方で、日本とは衛生基準が異なります。
調理場や食材の保管状態を観察する
出来立て・加熱済みの料理を選ぶ
生水や氷は避け、必ずミネラルウォーターを利用する
混雑している屋台は回転が早く、食材が新鮮なことが多い
フィリピンには**「カマヤン(Kamayan)」**と呼ばれる手づかみ食文化があります。
バナナの葉の上にご飯やおかずを並べ、手で直接食べるスタイル
家族や友人の集まり、フィエスタなど特別な場でよく行われる
手づかみで食べるため、事前の手洗いと衛生管理が必須
このスタイルを体験すると、フィリピンの食事が持つ「共有と団結」の文化を肌で感じられます。
多くのフィリピン料理は、テーブル上の調味料で自分好みに味を変えられます。
酸味を抑えたい → 砂糖やココナッツミルクを追加
辛さを強めたい → 刻み唐辛子やチリソースを追加
旨味を増やしたい → 魚醤(パティス)やバゴーンをプラス
観光客向けのレストランも良いですが、地元の人が通うカレンデリアや屋台は、安くて本格的な味を楽しめます。おすすめメニューや隠れた名店を聞けば、観光ガイドには載らない絶品グルメと出会えるかもしれません。
フィリピン料理は、多民族・多文化が融合した多彩な味わいが魅力です。酸味・甘味・塩味のバランスが取れ、日本人の口にも馴染みやすい料理が多く、初めてでも安心して楽しめます。
今回紹介した名物15選は、フィリピン滞在中にぜひ味わってほしいラインナップです。
初心者向けの定番料理:アドボ、シニガン、カレカレ、レチョン、パンシットなど
ローカル感あふれる料理:バロット、ディヌグアン、キニラウ、トゥロンなど
甘党必見スイーツ:ハロハロ、レチェフラン、ブコパイ、ビビンカなど
また、屋台や市場での衛生管理、手づかみ食の「カマヤン」スタイル、調味料での味の調整など、現地ならではの食べ方やマナーを知っておくことで、食体験はさらに豊かになります。
フィリピンの食文化は、単なる「味」だけでなく、人々の生活や歴史、地域の個性が色濃く反映されています。観光や留学の際には、ぜひ現地の人々と同じテーブルを囲み、会話を楽しみながら料理を味わってみてください。そうすれば、きっと旅の思い出はより深く、色鮮やかなものになるでしょう。
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